『ナタ転生』趙霽監督
インタビュー

プロフィール

中国アニメーションスタジオ・追光動画所属。

中国伝媒大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を卒業。

『ベスト・キッド』(2010)『雪花秘扇』『武侠』(2011)『一代宗』(2013)『小門神』(2016)、『阿唐奇遇』(2017)、『猫与桃花源』(2018)など多数の映画制作に関わり、『白蛇:縁起』(2019)は中国興行収入が70億円を超える大ヒットに。10年以上の映画制作経験を持ち、最新作は『ナタ転生』(2021)。

― ナタとはどのような神ですか?

中国の神話では、人間は神や仙人となることができ、神や仙人も人間に生まれ変わることができますよね。ナタは中国の神話の中でも非常に有名な神です。とてもわがままで、いたずらっ子で、暴れん坊ですが、同時に正義感に溢れています。やんちゃで、正義感の強い、とても“パンク”な性格のナタを生かしたクールな青年版の特徴にしたいという思いがありました。

― 『ナタ転生』に出てくる≪ナタ≫はどのようなキャラクターですか?

一般的に良く知られているナタのイメージは1979年版《ナーザの大暴れ》に出てくる小さな英雄が一番印象深いでしょう。しかし、原作《封神演義》から見るナタは、とてもわがままで、暴力的で、自由を追い求める人物です。時には後先構わずに行動してしまう性格から考えると、ナタは中国の伝統的な神話人物の中で、最もパンクな精神を持っている英雄です。『ナタ転生』では、今まで描かれたことがないナタを目指そうと決め、まったく新しい架空の世界の中で生きる、パンクな青年版・ナタを作り上げました。

 

― 脚本はどのぐらい執筆されましたか?また、映画のタイトルに出てくる《新神榜》について、これは《封神演義》シリーズ作になる可能性があることを意味しているのですか?

シナリオ第1稿から推敲して3、4稿まで書きました。新神榜の概念は、ナタを出発点にして、全く新しい封神演義の宇宙や世界観をこれからも展開していきたいです。

― どのような世界観で未来の時空にいるナタを描こうと思いつきましたか?

《封神演義》から3000年後の東海市で物語は始まり、私たちはパンク的な風格と精神の映画を作ろうとしました。パンクで強調したいのは矛盾、そして衝突。この世界を作り上げる際に、大きな世界観から些細な部分まで、どこにでもパンクの痕跡を見ることができます。

― この架空の世界はどのようにデザインされましたか?

東海市の設定は、東洋・中国風の美的センスと西洋の美的センス、この2つの要素を参考にしました。ビジュアル的に異なる2つのセンスがぶつかることにより、面白いものが完成したと思っています。映画の中では、西洋風の高層ビルと同時に中国の上海灘にあるような中国式の建物も存在します。登場人物も含め、服や車もこの2つの文化のぶつかり合い(対比)を表現し、スチームパンク(※)やサイバーパンク(※)、アール・デコ(※)などの要素も取り入れました。100年くらい前から現在に至るまでの、中国と西洋の特徴的なビジュアルの要素を融合させることにより、最終的には自分たちのパンクスタイルを表現できたと思っています。

※スチームパンク
1980年代に作られたSFのジャンルで、19世紀に発達した蒸気機関をモチーフにしている。レトロでカッコいいデザインにSFの要素がある。

※サイバーパンク
コンピューターネットワークによって管理された、暴力的で退廃した未来社会を描くSF小説の潮流。

※アール・デコ Art Déco(仏)
1925年パリで開催された「現代産業装飾芸術国際博覧会」(通称:アール・デコ博)に由来、またそれに象徴される、1910-30年代までの広範な分野の諸芸術の傾向・デザインの様式。

― その雰囲気(美術的な特徴)をどうやって映画の登場人物と融合させたのですか?

李雲祥、三太子、東海龍王などの役は、設定の上ですべてパンクの要素を盛り込みました。例えば李雲祥はとてもクールなバイクに乗っています。三太子は裕福な家庭の息子で、服装や身の回りの物などはとても上質です。徳会長の会社は、1920~30年代のアール・デコ様式を取り入れていて、とても重厚でリッチな雰囲気が漂っています。

― ナタを扱った映画は多々ありますが、なぜ普通の人間である李雲祥の視点を強調しようと思ったのですか? 

《新神榜》では新たに「元神」という概念を加えました。李雲祥は普通の青年ですが、彼の「元神」はナタです。彼と元神であるナタの関係は映画の最も面白い点だと思います。

― 李雲祥と元神ナタの関係はどうなりますか?

互いに見えないところから認めるまでの過程です。

― 若い人たちに李雲祥の成長してく姿を見てほしいのですが何を感じますか?

李雲祥は現代の若者に通ずる普遍的な願望を持っています。皆さんも共感できる部分が多いと思いますので、是非ご覧ください。